情報氾濫社会
情報技術の急速な発展により、インターネットやソーシャルメディアを含むさまざまなメディアが容易に利用可能になった社会において、膨大な情報量が日々生成され、個人がアクセスできる情報量が増大している。
アクセス可能な情報の錯覚
この情報氾濫により、あらゆる情報に容易にアクセスできる錯覚が生じる。インターネットの検索エンジンを通じて情報を簡単に見つけることができるため、情報に対するアクセスの壁は低くなった。しかし、それは全ての情報の一部に過ぎない。オンラインで公開される情報は信頼性や精度に問題があることがある。そもそも、ネットへの情報発信がニュートラルなものでなく、商業ベースの意図的な情報が多く、必然的にバイアスがかかっている。これが、正しい科学ならばそれでも良いが、明らかに間違った解釈や考えがなされているケースが多い。
フィルターバブル
個々のユーザーが情報にアクセスする際、個人の興味や行動履歴に基づいて情報が選別される現象、すなわちフィルターバブルがあるため、ソーシャルメディアや検索エンジンは、ユーザーにとって関心のあると思われる情報を優先的に表示するため、既存の意見や興味関心と一致する情報にばかり接する傾向がある。情報の多様性や異なる視点を欠くことで、偏見や情報の偏りが生じる可能性がある。
欲しい情報へのアクセス困難
フィルターバブルにより、ユーザーは既存の意見を裏付ける情報を容易に見つけるが、自らの視野を広げる情報にアクセスしにくくなる。特定のトピックや意見に対して、多様な情報を入手するためには、積極的に異なる情報源を探す必要がある。
科学情報の正確性
情報氾濫社会では、科学情報の真偽を見極めることが難しくなっている。信頼性のある一次情報源を利用することが、偏った情報を避けるために重要であるが、それらは専門性のある情報であり、他分野または一般的知識の人には理解が困難になる。そのため、正確性のチェックは結果として、権威などの信用に頼らざるを得ないことになってくる。
情報リテラシーの向上
様々な情報ツールが開発され、それらを使いこなすための情報リテラシーの向上が必要である。とりわけ、科学情報については、正確性のある情報源の判断や、情報の多様性を求める姿勢を持つことが重要である。